南阿蘇村で「阿蘇水守(あそみなかみ)林業」を営む足立豪範さん(36)は、関東からのIターン。林業歴4年、移住して5年。関東では整体師のお仕事をされていた足立さん。東日本大震災を機に、以前から憧れていた九州への移住を決意。「きれいな水と、南阿蘇の雄大な景色と高原のような気候が好き。」
初めて南阿蘇の水源を見た時に「この水が湧き出ているのは”当たり前“のことではない。山があるからきれいな水があるんだ!」と感じた。そんな矢先の移住後間もない時期に、植林のアルバイトがあることを知り「行こう!」と即決。
その後、植林のアルバイトで出会った山の親方や、地元の林業事業体にも熱くアプローチし、ひとつひとつ仕事をもらい、そのひとつひとつに一生懸命に取り組んでいるうちに、いただける仕事が少しずつ増えていった。現場でいちばん大事にしていることは「きれいな仕事」。林業は木をどれだけ出したかでお金がもらえるので、極端な話、いい木(値段がつく木)だけ伐ってお金だけもらい、残りの伐りにくい場所にある木などは知らんふり、というような現場(10年前にそういう作業をしたな、ということが現場を見ればわかるそうです)も中にはある。でも「自分が入った山はきれいにする」。作業を始める前は、山はとても暗く、重く大変な感じがする。それでも、暗い森を間伐し終えた時の達成感は、本当に、やった者だけに与えられる喜びだと思う。それがやりがいでもある。
社名の「阿蘇水守林業」は、山を守ることが、私たちを生かしている水を守ること。つまり子供たちの未来をも守ること。そんな決意と願いを込めてつけた。
「南阿蘇に水が湧き出ていることは、当たり前ではなく、”奇跡“であり”有難い“ことだと思うのです。でもそれが”当たり前“になった時に、人はそれを失ってしまうのではないかと思うのです。今回の地震後、近くの水源が枯れたと聞き、まさかと思いつつ見に行くと本当に水が干上がっていて…ショックでした。悲しみが込み上げてきて家族の前でも号泣してしまいました。山仕事は「この奇跡を起こし続けるための一助」だと思ってやっています。奇跡を起こし続けるために―これが阿蘇水守林業の名前に込められた思いです。それは自然への感謝の思いです。」
自家用の畑は妻のあけるさんが6人の子育てや家事を切り盛りしながらしている。足立さんの住む地区では70代80代の人が今の農林業を担っている。「だから自分たちの世代が頑張らないと!(この南阿蘇の豊かさも途絶えてしまう)」と語るあけるさん。
所有している広い農地もあるが、今はそこで農作物を育てるまで手が回らず、豪範さんが草刈りやロータリーがけ作業をするのみ。ある時、「何でこれをやっているんだろう?」と考えながら作業していた時にふと「将来、子供たちが農林業を引き継ぎ、家族でそれを営んでいくための準備なのだろうか?!」という思いがよぎった。自ら植林した木が、成木となって市場に出るのは孫の代。林業はそもそも自分の代で結果が出ない。そんなゆるやかな時間の捉え方の中での閃きなのでしょうか。「子供たちの未来のために」。
南阿蘇ですくすくと逞しく健やかに育ったお子さんやご家族とともに、さらなるご活躍をされる日が待ち遠しいですね。
6:30 | 起床 |
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7:30 | 現場入り 仕事スタート |
11:30 | お昼ご飯 |
12:30 | 仕事再開 |
17:00 | 仕事終える 帰る前にコンビニでコーヒーを一杯飲む!(重要) |
18:00 | 帰宅 家族との時間 |
24:00 | 就寝 |