青木 隆さんTAKASHI AOKI

阿蘇市age.34

山仕事も、山での自給的な暮らしも、とにかく楽しいです。

阿蘇市にある梅本林業で働く青木隆さん(34)は関東からのIターン。2年前にバイクで南阿蘇の知り合いのところに遊びに来た際、阿蘇に魅せられ、その後何度も通うように。そんな中、知り合いから植林のアルバイトの話があり、参加。「もともと山が好きで、自然の中で仕事がしたかったので、山で自然に囲まれて仕事ができるなんて、楽しい!」

その後間もなく家族とともに大津町に移住し、1年間、熊本県の長期研修に。研修終了後、2016年4月に現在の梅本林業に入社。住まいも町から、里山にある古民家へ。古民家には、山の親方を通じて住めることになった。田舎暮らしに必要な物がいっぱいつまった蔵や土間、そしてかまどもある古民家。「かまどで(薪で)炊いたご飯は、作る工程も楽しいし、何より美味しいし、薪のお風呂の火を焚くのも楽しいし、お風呂に入ること自体が幸せなひとつのイベントになりました。暮らしがシンプルになり、そして生活の中の”幸せ度“が増しました。」

全く知らなかった林業という世界。林業をしている人にも今まで会う機会はなかった。初めて伐倒した時に「すごい仕事だなぁ!!」と感じた。すごい、を具体的に言うと?「こうして人知れず山や森を守っている人たちがいて、何十年もこの仕事を続けてきたんだな、それをこれから自分もしていくんだな、一生続けられる仕事なんてなかなかないよな、自分が今伐った木も、何代か前の人達が植えた木で、自分が植えた木も何代かあとの世代の人達が伐って、また植えて、そうやってずっと続いて行く、気の長い仕事だな、誰にでもできる仕事じゃない、すごいことしてる!!そういうもろもろの思いが、瞬時にどばっと来て。」「ただでさえ自然の中で仕事ができるのに、現場にもよるけれど”職場が絶景“ということもよくあるし、通勤も、夏も冬も絶景。阿蘇五岳を見渡せたり、時には雲海も!」そして、同じ現場でも、天候や気温で日々違う景色。「阿蘇のカルデラならではの他に無い景色、こんないいところで仕事してる!」水も豊かできれいなので、夏場の作業帰りには仲間と川で水浴びしてから帰宅することも。

達成感ややりがいを感じる時は?
「狙ったところにピシャリ倒せた時や、調子よくばたばた倒せて、しかもかかり木にもならずに1日を終えられた時とか、現場が終わって、山が明るくなっていい山になったなぁ!という時」

現場で一番大事にしているのは「安全第一」。怪我をしないように、怪我をさせないように。自分にも仲間にも。

現在の目標は、「早く一人前の山師になり、会社にきちんと利益があがるような仕事ができるようになりたいです。どうやったらチェーンソーが良く切れるようになるか、切れる目立ての方法などいろいろ研究中です。」

そして、暮らしの面では、「楽しみながらクリエイティブな暮らしがしたいです。衣食住、消費するだけではなく、自給と創造をしていきたいです。食べ物もエネルギーも家も、生活全体をデザインしていきたい。」この日も、笑顔のすてきな妻の美和(みわ)さんが「お茶いれますね」と、笹の葉を摘んで、火で炙って美味しい笹の葉茶を入れてくださいました。

山仕事も、山の暮らしも、お子さんの成長も、これからますます楽しみな青木さんでした。

田舎暮らしに必要な物がいっぱいつまった蔵や土間、そしてかまどもある古民家。「かまどで(薪で)炊いたご飯は、作る工程も楽しいし、何より美味しい。
昨年参加した伐木選手権の様子 目標に正確に倒し見事3位に入賞

あその山モンの1日

4:30 起床‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬
仕事の準備や朝食・薪割りなども‬‬
7:30 仕事開始
11:30 お昼ご飯
12:30 仕事
17:00 帰宅
チェーンソー整備や目立て
17:30 夕食とお風呂
かまどで作るご飯と薪のお風呂!
20:30 子供と一緒に就寝

山モンを目指している人へのメッセージ

山仕事も山での自給的な暮らしも、とにかく楽しいです。林業は楽な仕事ではありませんが、四季を感じながら自然の中で仕事が出来て、しかも自分のした仕事の結果が出るのは何十年も先、こんな仕事は他にはないと思います。山での暮らしも、毎日忙しいですが、暮らし自体はとてもシンプルになり、日々幸せに暮らしています。今の生活が自分にはとても合っているので、とにかく毎日楽しく過ごしています。

  • このコンテンツは、パンフレット「ASO NO YAMAMON WORLD」に掲載した「カメラマンが見た山モンの姿」を転載したものです。
  • 内容はパンフレット掲載時点のものになります。