菅 晃大朗さん - あその山モンワールド

菅 晃大朗さんKOUTAROU KAN

阿蘇市age.36

先代たちのおかげで今がある。受け継いだものを大切に繋いで行きたいです。

生家に持ち山があるが、父の時代は山の手入れは森林組合に任せていた。東京の大学に進学した頃は、折りからのリーマンショックもあり就職困難者が多い時期だった。満員電車に揺られながら「都会は遊びや勉強にはいいが、生活は阿蘇がいい。自分で山の管理をしてみようかな。」そんな思いが何度も心をよぎっていた。

覚悟を決め、大学卒業と同時に帰郷し、くまもと林業大学校の前身である熊本県の長期研修に1年通った。研修修了後、地元の林業事業体に就職し、4年間研鑽を積んだ後に独立。「虎屋林業」を設立した。社名の「虎屋」は、実家の屋号をそのまま付けた。虎屋林業は、代表取締役の自分と社員2名。とはいえ、フラットな関係でみんなで相談してやっている。そして、それぞれの持ち場を各自がきちんと担い、ひとりでも考えて仕事ができる人が集まって、虎屋林業として仕事をしている。日中の作業はそれぞれの場所で各自行うが、作業終了後は、皆で事務所へ戻って機械のメンテナンスや片付けをしながら話をしたり、ほっと緩むいい時間だ。

始めてから10年以上経っても、今なおいちばん夢中なのは林業のこと、山のこと、木のこと。1日1回は必ず各地域の新聞の林業記事をまとめたサイトで情報収集し、森林作業道開設などを含めた林業系のYouTubeはほとんど見ている。新しいことを知って、自分の裁量でいろんなことをデザインしたり、決められることが楽しい。

山仕事をして、山がきれいに変わって行くところが好き。植林をしたら間伐が必要なように、山に一度手を入れたら、ずっと世話をし続ける必要がある。継続は力なりというが、続けていくのが大事。そもそも林業とはそういうもの。続けているから今がある。そして「もうすぐしたら」が、5~6年、時には何十年先という気の長い、ある意味おおらかな仕事。

「先代たちのおかげで今の山も今の自分もある。受け継いだものを大切に繋いでいくために、どの山も大切に、今日も仕事をします」と語る菅さんでした。

屋号を知らない方からは「虎屋林業ってコワモテな方々を想像しちゃっていました(笑)」という感想が。
古くは参勤交代路(豊後街道)の宿場町として栄えた坂梨エリアにある生家。

あその山モンの1日

7:00 起床
7:30 出発
8:00 現場到着・仕事開始
12:00 昼食
13:00 仕事再開
16:00 仕事終了
(事務所に戻って機械のメンテナンスや事務作業)
17:30 帰宅 すぐお風呂
19:00 夕飯
20:00 テレビやネットを見たりリラックス
(林業系のYouTubeも!)
22:30 就寝

山モンを目指している人へのメッセージ

林業では簡単な力学の応用が多いので、1本1本木と向き合い、頭も使いながらやってみて、自分の判断の結果がすぐわかるのが面白いところです。「おー!なるほど!」という気づきはいつもあり、ひとつひとつが達成感になります。日常生活の中で本気で力を使うことはなかなかないですが、林業では経験できます。そして健康になれます。

  • このコンテンツは、パンフレット「ASO NO YAMAMON WORLD」に掲載した「カメラマンが見た山モンの姿」を転載したものです。
  • 内容はパンフレット掲載時点のものになります。